小十郎は政宗がいないと駄目だよねって思います。
もし、政宗が先に死んでしまったら絶対正気じゃいられなくなる。と思って浮かんだ話だったのですが、漫画にしたらちょっとどころじゃなく後味が悪い。で、小話で書いてみたんだけど、小話でも後味が悪かったという罠。
まぁテーマがテーマだけに後味が良くなる事はないですね、ハイ。
って事で、続きから『政宗を失った小十郎が狂気にのまれ、1日のうち数分だけ正気に戻る』っていう設定のお話です。
突如、目の前が明るくなった。
混乱している脳を尻目に、目は真実を映し出す。
俺の目の前には赤い光景が映っていた。それはかつて人であったものが倒れ、重なり、朽ち果てた光景。
ああ、これは全て己がしでかした事か…。
左手には血と脂にまみれた黒龍が鈍く光っていた。
そうか、俺はまた正気を失って暴走したのか…。
貴方を失ってからどの位の時が経ったのだろう。近頃は正気を保つ時間が短くなってきた様だ。
あの時貴方を殺されてから、その殺した相手を殺し、そのまま相手が支配した国をも蹂躙した。正気と狂気の狭間で駆け巡った。
その先にあるのは、貴方を失った世界からの解放だと信じて。
だが未だに解放は訪れてはいない。俺は正気を失って尚生きているのだ。
貴方を失えば、この身は自然と滅びると思っていたのに…。
ああまた意識が遠くなってきやがった。狂気がまた身体を支配し始める。
政宗様
貴方がいなければ、この小十郎の生は意味など無い。
俺の業はいつ許されるのか…。
答も見つからぬまま、俺はまた狂気に己の身体を委ねた。